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三重の世界

三重の世界

 われわれは、多くのひとびとと共に、互いに関わり合いながら生きている。ビジネス縁起観では、自分を取り巻く人々を三重の世界と見ることができると考え「身近な世間」「社会」「世界」に分けてみた。これら、三重の世界には明確な区切りがあるわけではないし、ときには入り組むこともありうる。そういう細かなことは穿鑿せずに、自分と自分の周囲の人々とが、深くつながり合いながら生きていることを理解できればそれでよいと考えている。

 

身近な世間

 家庭、職場、友人たち、買い物で接する店の人々など、日常生活の中で身近に接する人々を、身近な世間と考えている。

 身近な世間の人々とは、直接会話する人々もいるだろう。日常的に顔を合わせるだけの人もいるだろう。住まいは遠く離れてたまにしか合わない人でも、実質的に身近な人もいるだろう。

 こういう人々との関わり合いは、自分の生活・人生に、直接的な影響を及ぼすであろう。

 

社会

 身近な世間を取り囲み、影響を受けやすい、比較的広い世界を社会と呼ぶことにした。

 顔も見たことがないのにお世話になっている人々は数知れない。自分のしていることによって、どこかで影響を与えている人々もどれくらい居るか分からない。

 人と人とのつながりは、不可思議としか言いようのないものを感じる。

 

世界

 世界とは、地球上に住むすべての人々をイメージしている広い世界である。宇宙船地球号の同乗者であり、運命共同体の仲間である。直接の関わり合いはなくても、間接的な関わり合いがあるに違いない。

 いまや、世界のどこかで事件が起きると、何らかの意味で自分にも影響が及んでく時代である。この傾向はますます顕著になってくるであろう。

 

生かされている自分

三重の世界/生かされている世界の図

 世界の中に社会があり、社会の中に身近な世間があり、身近な世間の中で自分は生きている。

 世界がなければ社会はないに違いない。社会がなければ身近な世間も成立しないのではないか。身近な世間がなければ自分は一人孤独でいるほかはない。

 三つの世界と言っても、一つの世界なのである。一つの世界に、便宜上、仮の区別を付けたにすぎない。

 自分を取り巻く世界があっての自分である。自分はこの三重の世界に生かされている。

 右図は、自分が三重の世界に生かされている概念図である。

 

自分の役割

三重の世界/生かすはたらきをする自分の図

 三重の世界の中心には、自分だけがいるわけではない。世界中のどの人をとっても、やはり三重の世界の中心にいる。

 三重の世界の中心に他の人がいるとき、自分はどこにいるのであろうか。それは、他の人からみた、三重の世界のどこかにいるのである。他の人もまた三重の世界に生かされて生きている。ということは、自分は他の人を生かす立場に立っていることを示している。

 自分では意識していなくても、自分は他の人を生かす役割を担っていることになる。その役割が大きいか小さいかは別として、必ず、他の人を生かすはたらきをするべき位置にいるということが重要である。

 

生かされ合い、生かし合いの世界

 自分は、多くの人々の支えなしに生きていくことはできない。三重の世界がそのことを明らかに示している。自分は生かされる立場にある。

 他の人も、多くの人々の支えなしには生きていくことはできない。これまた三重の世界が明らかに示している。自分はその人のどの世界にいるのかは分からないけれど、その人を生かす立場にいることは明らかである。この世界は生かされ合い、生かし合いの世界なのである。

 

感謝して生きる

 三重の世界の中で、自分はどう生きればいいのか。

 生かされて生きているという観点からは「生かされていることに感謝して生きる」という生き方が浮かび上がってくる。

 ビジネス縁起観では、「必要なものが、必要なときに、必要なだけある」とき、豊かであると考えている。ところが、いわゆる貪欲を持つ人は「もっと、もっと」という思いをもち、不必要なものまでかき集めようとすることがある。このような人は感謝の気持ちを持つことなど、到底できない。

 生かされていることに感謝しながら生きることは、人間らしい精神である。同時に資源の効率的な利用への道を開く姿勢でもある。

 

役割を果たす

 自分は他の人々を生かす立場にあるという観点からは「自分の役割を果たす」「自分のなすべきことをなす」という生き方が浮かび上がってくる。

 家庭の一員としても、職場の一員としても、そのほかの場面においても、自分の担っている役割を果たすこと、自分のなすべきことをなすことが、人々のためになるのである。

 他の人々もまた、人々を生かすために果たすべき役割をそれぞれに担っている。その役割を果たさせてあげることも重要なことである。

 自分の役割を果たしつつ、他の人々にもその人の役割を果たさせることができれば、これに越したことはないであろう。