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「ヒト」という経営資源

  

 経営資源とは、経営をするためには必ず必要となるものであり、それがなければ経営が成り立たないものです。そう考えれば「ヒト・モノ・カネ」は確かに経営資源であると言ってよいと思います。

 この中で「ヒト」とは誰をさしているのだろうかと考えるうちに、なにはともあれ経営者であることに気づきました。経営者がいない経営はありえないからです。「企業はヒトなり」という言葉は、当初、経営者を指していました。もちろん、幹部社員も一般社員も、やはり経営資源です。

 「ヒト」には、他の経営資源にはみられない特質があります。

 「ヒト」には自由意志があり、自分で判断して行動することができます。他の経営資源には自由意志はありません。

 「ヒト」は自分自身を含めた経営資源を、自分の意思で使って仕事をすることができます。他の経営資源は「ヒト」に使われることによって働きを現わします。

 他の経営資源は責任を担うことができません。「ヒト」は、責任を担うことができます。それどころか、自分の力に応じた責任を任され、責任に見合う権限を付与されたとき「ヒト」は大きな力を発揮することが分かっています。「ヒト」を使うとき、能力、自主性、責任感などを考慮に入れて仕事を設定することが勧められるのは、こうした特質のためだと思います。

 ほとんどの経営資源は、時が経つにつれて劣化していきますが、「ヒト」という経営資源は能力の向上が期待できます。経験と学習を通して成長することができるという特徴を持っているからです。

 「ヒト」は、不思議な経営資源だなぁと思います。

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社員を成功させる

  

 「経営者の仕事は社員を成功させることです」と、ある大企業の経営者が語っていました。社員一人一人が、それぞれの担当する仕事で、成功するようにしてあげるのが経営者の仕事であると、私は解釈しました。全社員がそれぞれの仕事で日々成功を納めれば、その総体としての会社の業績は向上するにちがいありません。社員が生き生きと働きながら、期待通りの生産性を実現することができたとき、その社員は成功したと言えるのではないでしょうか。

 社員を成功させるには、どうすればいいのでしょうか。私の考えは単純です。その社員のできる仕事をさせればいいのです。易しい仕事ばかりではいけません。難しそうな仕事や、ときにはぎりぎりできる仕事に取り組ませるのも良いと思います。

 できる仕事であれば、たいてい成功します。仕事に成功した社員は喜びを感じます。そして、もっと上の仕事で成功したいという気持ちが湧いてきます。やる気が充満してくるのです。

 このやる気を汲み取って、もう少し上の仕事ができるように、教育や訓練を行ないます。力がついたらそれに応じた仕事を与え、また成功させます。この繰り返しが、社員を成長させるのです。

 できない仕事を与えれば失敗します。失敗させておいて、なんで失敗したんだと怒ったりしたらなんだか変ではないでしょうか。

 社員に、この仕事で成功しなさいという思いを込めてできる仕事を与え、もっと成功しなさいという思いを込めて教育し訓練する。そういう経営者は、社員と経営の両方を同時に育て上げることができると私は思います。

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社員育ては子育てに似ている

  

 私はかつて教育関係の研究所に在籍していた期間があります。そのとき家庭教育の勉強もさせていただきました。経営コンサルタントとして活動を始めたとき「企業での社員育ては、家庭での子育てによく似ているなあ」と思いました。ちがうところは、経営者が社員を解雇したり、社員が自分から辞めたりできるところです。親子の間では、それはできません。

 当時、家庭教育の先生から、過保護・過期待・過干渉の三過が子育てをつまずかせると教えてもらいました。最近はさらに過放任・過許可が加わった五過が語られています。これはそのまま社員育てに当てはまるようです。

 家庭教育では、子どもは親の鏡と言われ、親が変われば子どもが変わると言われます。社員教育でも、社員は社長の鏡であり、社長が変われば社員が変わると言われてきました。子どもと社員では少しちがうところもありますけれど、本質は同じです。子どもは親の、社員は社長の後ろ姿を見ながら育つのです。

 子育てでは、褒めると叱るを適切に行わなければなりません。このとき、褒めると叱るの基準がぶれないことも大切です。基準がぶれると、褒める・叱るの効き目が無くなります。

 社員に対しても、褒める・叱るは適切に行わなければなりませんし、基準がぶれないことが求められます。基準がぶれると、社長はえこひいきをしていると勘繰られたり、社長は気分屋だからなどと軽く見られることもあります。

 親のありようが子育てに響き、社長のありようが社員育てに響くのは、当たり前かもしれませんが、厳しいことでもあるようです。

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認めると褒める

  

 認めることは褒めることと思っている人が少なくありません。実際、認めるという言葉を褒めるという意味で使っている昨今です。しかし、本当は意味が違うのです。従業員を育成する観点からは、この二つの言葉の意味の違いを知って、正しく使い分けたほうがいいと思います。

 認めるとは、相手のありのままを受け入れることです。「君がこの仕事をしたのだね」と受け入れるのが認めることです。認められた側は「自分はここの一員なんだ」と感じます。この思いがモチベーションを高めます。

 認めてもらえなかったということは無視されたということです。無視されると「自分はここの余計者なんだ」などと感じます。この思いは、その後のモチベーションに大きく影響します。

 褒めるとは、良いところを指摘して讃えることです。「君は良い仕事をしたね」と褒めるのです。

 褒めるのは、ひとつの教育手法です。従業員は、経営者が褒めた方向に伸びるからです。ですから、経営者がこうやって欲しいと考えていることを少しでも行なったら褒めればいいのです。そして、さらに伸びるべき方向を示してあげるのです。

 認めたけれども褒めないこともあります。貶(けな)してはいけませんが、褒めないことはあり得ます。どんなに熱心に仕事をしても、方向が間違っていたりしたら褒められません。このようなときには、認めた上で褒めない理由を分かりやすく教えてあげます。教育の重要な手法のひとつです。

 経営者の機嫌が良いときは褒めるけれども、機嫌が悪いときは褒めないばかりか貶すこともある。場合によっては存在を認めようともしない。こういう状況は最悪です。自分の感情をぶつけていたのでは、社員を正しく使うことも、正しく伸ばすこともできません。

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後押しの指導と修正の指導

  

 部下を持つ人は、部下に向かって、目標を明確に示した上で、後押しの指導と、修正の指導を行っていただきたいと思います。

 組織の中で、一人一人がそれぞれの成すべきことをしてくれれば、組織は目的に向かって円滑に動きます。そこで、成すべきことをしている人に対しては、それでいいのだよとサインを送ったり、支援をしたりします。これが後押しの指導です。

 組織の中に方向を誤っている人が一人でもいれば、全体の歩みが遅くなったり、組織活動が乱れたりしてしまいます。そこで方向を誤っている人には、それはちがうよと指摘して改めさせます。これが修正の指導です。

 後押しの指導は、向かうべき方向に向かって歩んでいる人をそのまま進ませる指導です。修正の指導は、向かうべき方向に迷っている人や間違えている人を正しい方向に向かわせる指導です。

 余程のことがない限り、わざと方向を間違える人は居ないと思います。大部分の人は、自分はちゃんとやっていると思いつつ間違えているのです。理解不足だったり、能力不足だったり、勘違いしていたり、その理由はさまざまです。そこを確かめながら歩むべき方向はこちらだよと指し示したり、ときには手をとるようにして導いてあげるのです。

 後押しの指導と修正の指導は、社員を目標に向かって歩ませるためのワンセットの指導です。正しいときには正しいと認め、誤っているときには誤っているよと指摘することによって、部下は安心して働くことができます。

 どちらの指導も、温かな真心で行えば、効果も大きくなるにちがいありません。

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厳しい

  

 社長が社内に決まりを作ります。決まりに背いた人は激しく叱りつけます。この点は厳しいと言えるのでしょう。しかし、社長自身は決まりを守りません。そのことを社員から指摘されると、俺はいいんだと取り合いもしません。これは自分に甘いとしか言いようがありません。「うちの社長は、他人に厳しく自分に甘いんだから」などと、陰口を叩かれてしまいます。

 決まりを作ったら、社長が率先して守り社員にも守らせる。自分にも厳しく他人にも厳しい態度です。「うちの社長は、厳しいなぁ」「自分にも厳しいから、文句言えないな」。社員同士でこんな会話が交わされていれば大丈夫だと思います。

 「厳しい」とは、ことわりとか筋道を守る態度がしっかりしていることです。ことわりや筋道を、自分の感情や都合で守ったり守らなかったりすると、甘いと言われます。

 感情を高ぶらせて大声で怒ったりするのは、厳しいのではありません。荒いのです。荒々しい態度で人を怖がらせ、支配しようとする人は、たいてい、自分には甘いものです。

 「あの人は、優しいけれど厳しいよねぇ」と言われる人がいます。言葉も静かで内容も思いやりに溢れているから優しいのですが、ことわりや筋道がしっかりと通っているから厳しいのです。

 人は、ことわりや筋道を守りながら、よい仕事をしようと努力すると、成長します。ことわりや筋道を無視して、目先の辻褄だけを合わせようとしていれば、やがて、取り残されてしまいます。

 他人には優しく厳しい。自分には厳しい。こういうリーダーは、尊敬されるのではないでしょうか。

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理由を聞く

  

 従業員がおかしなことをしています。それを見咎めた上司が怒鳴りつけます。従業員は、驚いて止めます。ところがしばらくすると、同じことを始めます。上司はますます大声で怒鳴りつけます。

 こんなことを繰り返していますと、他の従業員にも響いて、職場の雰囲気が重くなってしまうこともあります。

 従業員がおかしなことを繰り返すようなときには、必ずどこかに理由があります。しかも、本人は理由に気づいていないことが多いのです。ですから、何度でも同じことを繰り返してしまいます。その理由を見つけ出して取り除けば、おかしなことは止まります。その理由が残っている限り、何度でも繰り返します。

 上司が、怖い顔で、荒々しい口調で「理由を話せ!」と迫っても、たいていの場合、本人には自覚がありませんから分かりません。むしろ、従業員の口が塞がってしまいます。従業員を責める気持ちを持っている間は、本当の理由を聞き出すことはできないと思います。

 こういうとき、上司が腹の大きいところを見せてくれるとありがたいのです。おかしなことをしている従業員を温かく包み込み、話を聞いてあげるのです。従業員の気持ちを理解し、共有してあげるのです。すると少しずつ理由が見えてくるものです。

 本人の能力の問題かもしれません。何か勘違いをしているのかもしれません。私生活に心配事があるのかもしれません。見出された理由の解決は、簡単にできることもありますが、根が深くて骨が折れることもあります。いずれにしても、解決の道を見出して、取り組むことが大切です。

 本人が自分の中にある理由を自覚して、解決に取り組み始めれば、それだけでも、仕事に対する姿勢は大きく改善されると思います。

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欲求と仕事

  

 仕事をしなければ給料をもらえない。給料をもらいたいから仕事をする。マズローの言う“生理的欲求”や“安全と安定の欲求”で仕事をしている人なら、こういう気持ちになるかもしれません。しかしそれでは、働きがいはあっても小さなものでしょう。働きがいが小さければ、モチベーションも上がりにくいでしょう。

 “所属と愛の欲求”が満たされる、さらには“承認の欲求”が成就されるというように高い次元の欲求が満たされるようになれば、働きがいも大きくなっていくでしょう。それによって、モチベーションも向上していくにちがいありません。

 マズローの言う“自己実現の欲求”が満たされるようになれば、モチベーションが高まるだけでなく、創造性も向上し、仕事の生産性を押し上げるにちがいありません。

 ある人が、そこそこの給料をもらいながら会社をやめてしまいました。わけを聞きますと、自分が何をやっているのか分からないから仕事に打ち込めないと言います。

 その後に就いた仕事は、以前よりも給料が下がり、苦労も多いように見受けられましたが、その人は活き活きと働いていました。多少条件が悪くても、やりがいのある仕事に出会ったのです。

 打ち込める仕事とは、自分の意思で自分を発揮できる仕事であり、その結果が自覚できる仕事であると言われています。仕事のできる人は“自己実現の欲求”が満たされることを望んでいるのです。

 経営者や管理者が、そこのところをとらえて、より次元の高い欲求が満たされるように配慮すれば、仕事のできる人のモチベーションを高めることができるのではないでしょうか。

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メンバーシップを育てたい

  

 ある職人さんが会社を立ち上げ、仕事を仕込もうと思って若者を雇いました。三年もたって仕事を覚え、そろそろ仕事を任せようかと思っている矢先に、若者は黙って出社しなくなりました。

 仕方がないので別の若者を雇って仕込みました。ところが、この若者もそろそろ一人前という頃に出社しなくなりました。三人目の若者も仕事を覚えた頃に音沙汰なしになってしまったのです。

 これには訳がありました。社長は社員の腕を上げようと、熱心に指導したのです。しかし、出来の良いときは当たり前だと突き放し、出来の悪いときは怒鳴り散らす、それも人格否定の言葉を叩きつけるというありさまだったのです。若者たちはそれが我慢できずに、仕事を覚えたところでほかの会社に行ってしまったのです。

 この社長は、社員たちに仕事を教えることはできたけれど、メンバーシップを育てることには失敗したのだなあと思います。

 メンバーシップとは、この社長を信頼し、この社長のもとで働きたいと思う気持ちや、この会社が好きだ、ここから離れたくないというような気持ちです。メンバーシップが育ちますと、仕事が辛くても辞めようなどとは思いません。他の会社から引き抜きにきても動こうとはしません。この会社で、この社長のもとで働いていることが、幸せのもとになっているからです。

 メンバーシップは社長と社員の人間的な触れ合いから生まれます。この社長のもとで仕事をすることに幸せを感じたとき、また社長の仕事に対する情熱に巻き込まれたときに生まれるのです。

 メンバーシップの育成は、人材育成のかなめのひとつであろうと私は思っています。

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経営者と従業員が通じ合う

 

 従業員が経営者を理解しない。そういう悩みをよく聞きます。経営者を理解しない従業員は、経営者の思いや考えから外れたことをやってしまう恐れがあります。なんとかならないものでしょうか。

 人間はひとりひとり違っています。経営者と従業員では、求めるものが違います。考え方や思い方が違います。こうしたこともあって、従業員は経営者をなかなか理解できません。

 従業員には、仕事の中だけでいいから経営者と同じ考えを持ち、同じ思いを持ってほしいと思います。それは不可能なことではありません。従業員を経営者の考えや思いに導けばいいのです。それには一苦労しなければなりませんが、できないことではありません。

 人間同士が理解し合う土台は、お互いの間に共通するものがあることです。共通するものを通して、お互いの気持ちが通じ合います。考えを分かり合うことができます。より深く分かり合えば、判断も一致するようになり、行動も同じ方向に向かうようになります。

 ですから、経営者と従業員の間に、共通するものを作り育てればいいのです。

 経営者と従業員の間に共通するものを作り育てるには、経営理念が確立していることが必要です。経営理念は事業に対する経営者の思いから生まれたものです。経営者が自分の経営理念を従業員に語り、これを従業員が納得すると、経営者と従業員の間に共通する思いができます。ここにお互いが分 かり合える通路が生まれます。

 従業員が経営者を分かってくれるのを待つのではいつになるか分かりません。分かってもらえるように導いたほうが、ずっと早いと思います。

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経営者に参加する

 

 仕事のできる人を雇い入れたら、はじめのうちは仕事をどんどんこなしてくれてよかったのですが、次第に仕事のできることを鼻にかけて、経営者を無視するようになってきました。

 経営者には独自の考え方があり、他の会社とは一味ちがった仕事をして顧客に喜ばれていたのです。ところがその人は、経営者の考えを無視して自分の考えで仕事をしてしまうのです。このため得意先からクレームが入るようになりました。

 経営者は彼に、経営者の考え通りに仕事をするように話をしました。彼は面倒くさそうに話を聞いて、分かった分かったとうなずいて見せるのですが一向に改まりません。そのうち顧客が離れ始めて、仕事が激減してしまいました。

 経営者の考えや思いを共有できない人は、仕事ができればできるほど、経営を乱すことがあるのです。

 従業員が経営者の思いや考えを自分の思いや考えとして仕事をすれば、経営者が直接仕事をしているのと同じになります。このような従業員を、私は、経営者に参加していると言っています。

 経営者は思いを語り、考えを伝えるべきだと思います。経営者の思いや考えを聞いて、本当にそうだと理解し、その通りだと感動した従業員は、経営者に通じる思いを持つようになり、経営者と同じ方向で考えるようになります。経営者に参加するようになるのです。

 経営者に参加している従業員なら、安心して仕事を任せられます。信頼して、仕事の相談をすることができます。

 経営者に参加し、経営者と一体となって業務に当たり、経営を盛り立ててくれる従業員は、会社の宝にちがいありません。

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経営理念教育

 

 経営者には、それぞれに思いや考えがあります。こうした思いや考えを分かりやすい言葉にして公表したものが、経営理念であると思います。社是、社訓、企業理念など言葉によってニュアンスに違いがありますが、本質的には同じことだと思います。

 経営者が成長すれば思いや考えが成長します。これにつれて、経営理念も成長します。掲げられている言葉は同じでも、その内容が変化します。経営理念は年々変わっていくのです。

 経営理念は経営者と社員をつなぐ紐帯であると言われ、また経営の土台であると言われます。そうであるためにはトップから末端社員までが経営理念を共有し、活用していることが必要です。その意味で、是非とも経営理念教育を行っていただきたいと思います。

 まず、経営者自身が経営理念を語り、経営理念通りに行動します。手本を示しながら、先頭に立って引っ張るのです。その上で、幹部社員が経営理念を理解し実践するように導きます。そして一般社員も巻き込んでいきます。

 経営理念教育の一環として、年に1回か2回、全社員を対象にデスクワークを行っていただきたいと思います。経営理念の意味を解説し、奥にある精神を語り、具体的な活用の仕方を示します。質問を受けて回答するという場面ができれば、理解が深まり、より深く浸透すると思います。生きた経営理念は年々成長しますから、常に新鮮な経営理念を全社員に伝えて、根付かせていきたいのです。

 経営者の思いを全社員に伝え、経営者の熱意に全社員を巻き込み、前へ前へと経営を進展させていくためのエネルギーを生み出すために、熱く語りかけて、心を揺さぶりたいのです。

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人材確保

 

 古くから「ヒト・モノ・カネ」は、事業の3資源と呼ばれてきました。これらを調達してはたらきを発揮させ、目的を達成するのが経営者の仕事であるわけです。

 “ヒト”という資源は、経営者自身から末端社員まで、さらにはパート、アルバイトまでを含めた会社に所属するすべての人々のことです。“ヒト”は人材と言われます。“材”とは役立つものということですから“資源”と同じ意味です。

 人材確保の基本的な課題は、採用・定着・育成です。どれをとっても一筋縄ではいかないことばかりで、この問題で悩んでいない経営者を探す方が難しいくらいです。

 こうした問題に対して、経営者はどう対処しているかをある研究機関が調査しましたところ、事実上何もしていない経営者が一番多く、半数以上だったそうです。こんな話を聞きますと、もったいないなあと思います。

 出来の悪い社員を前にしてため息をついても道は開けません。社員も普通の人間ですから、良いところもあれば悪いところもあります。良いところを出させ、悪いところを出させないようにすることができれば、出来の良い社員になります。良いところを出させないで、悪いところを出させていたら、出来の悪い社員になります。

 たいていの社員は、対処のしかたで良い社員にすることができます。基本的には、社員の良いところを発見し、これを生かそう、伸ばそうとアプローチすればいいのです。磨けばそれぞれに光るのです。

 他社の社員をうらやむよりも、他社からうらやまれる社員を育てたいものだと思います。それは決して不可能なことではないのです。

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人材育成の方法

 

 人材育成をしたいけれど、どうやればいいんだろう。あの会社は人育てがうまくいってるらしいが、どんなことをしているんだろう。人材育成というと、やはり「どうやればいいのか」と、方法を求めたくなります。

 人材育成の方法は三つあるとされています。業務の中で教育するOJT、業務から離れて教育するOff-JT、本人が自発的に学習する自己啓発の三つです。状況に応じて適切な方法を用いるわけです。

 この社員にはこの仕事を担当させたいから、こういうスキルを身につけさせよう。そのためには、この先輩社員を教育係にして、OJTで仕込んでいこう。

 社員全員に知っておいてもらいたいことがある。仕事を早じまいして、会議室でOff-JTしよう。

 この社員がこの資格を取ってくれたら、こっちの仕事を任せられる。しかし、そのために業務の時間を割くことはできない。残業を少なくしたり、報奨金を用意したりして、自己啓発を勧めよう。

 このように、教育対象者、教育内容、教育方法は、一体のものとして考えることになるわけです。

 人材育成の目的は、会社に役立つ社員に育て上げることです。そのためには、人材育成のプランを立てる必要があります。現在役立つ社員ばかりでなく、将来も役立つ社員を育てたいと思うなら、経営の見通しを立て、その上で人材育成の計画を立てることになります。

 人材育成は「ヒト」という経営資源を作りだすための投資です。経理上は教育訓練費など経費の項目になるためにうっかりしがちですが、本来は設備投資以上の投資であることを忘れてはならないと思います。

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人材育成法は千差万別

 

 人材育成の方法といえば、理論的には、Off-JT、OJT、社外研修、自己啓発などになると思います。しかしその具体的なやりかたは千差万別です。

 ある会社では、教育する先輩と教育される後輩がペアになって、つきっきりで教育が行われています。

 ある会社では、教育される新人社員に対して、周りの先輩たちが寄ってたかって仕事を教え込みます。

 ある会社では、直接の上司が社員に仕事の説明をしたら、そのままほおっておきます。その後は、定期的に様子を見に来ては意見交換をし、またほおっておきます。

 教育の方法がこんなに違うのは、会社ごとにそれぞれの条件が異なるからです。会社の目指すもの、仕事の内容、企業文化、社長の考え方、先輩社員の資質、そして教育を受ける社員の資質などの違いによって、教育方法が変わってくるのです。

 向こうの会社で人材育成に成功した例がある。あの方法を使えばうちでも上手くいくんじゃないか。そう思う気持ちは分かりますけれども、やはり、やめた方がいいと申し上げなければなりません。他社で成功した方法は他社の持つ条件の中で成功したのであり、条件の異なる自分の会社に当てはまることは滅多にないからです。

 ある新入社員に使った方法がうまくいったから、これからの新入社員は全部これでいこう。そういう考え方にもちょっと待ったと言わなければなりません。資質の異なる社員に同じ方法が使えるとは限らないからです。

 社員教育はそれぞれが特別です。会社の教育目標、社員の資質、教育担当者の資質などによって、ひとつひとつ工夫してこそ、真の効果を得ることができるのです。

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人材がいなくなる

 

 ある会社の営業部に営業成績が抜群の人がいました。この人は、営業はこうやるもんだという信念を持っていました。それはそれでよかったのだと思います。

 この人が営業部長になりました。すると、それなりの営業成績を上げていた営業部員が次々に退社しはじめました。わけを聞きますと、営業部長が自分の指示通りにやれと押し付けてくるというのです。自分には自分のやり方がある。自分を否定されてまで、この会社で働きたくない。そう言って転職していきました。残った営業部員は、部長の指示通りに動いていました。

 そんな中で、営業部長が倒れてしまいました。営業部長の指示通りに動いていた営業部員たちは、指示がもらえなくなって、どうしていいか分からなくなりました。この会社は急速に傾いていきました。

 この営業部長から見ると、自分の思い通り、指示通りに動く社員が良い社員であり、指示通りに動かない社員は悪い社員だったのです。このため、自分の指示通りに動く社員を作りましたが、自分で考え、自分で工夫する社員は育てませんでした。それどころか、育っている社員を追い出してしまいました。

 社長はこの事態に気づかなかったのでしょうか。気づいても対処しなかったのでしょうか。営業部長のやりかたに賛同していたのでしょうか。いずれにしても、会社が傾くという大きな代償を払うこととなりました。

 人材に対する考え方を誤ると、取り返しのつかないことになります。その修復には多大なエネルギーを費やさなければならず、時には修復不能になることもあります。重々、留意すべきであると思います。

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教育担当者

 

 ある会社で、素質のよさそうな高校新卒を採用することができました。社長は大切に育てたいと思い、年輩のベテラン社員に教育を任せました。

 ところが、ベテラン社員は、仕事を教えることはせずに、自分の仕事の手伝いをさせたり、使い走りに使ったり、あたかも子分ができたような感じでした。

 社長は、これではいけないと思いましたが、相手はベテラン社員です、うかつに口出しできません。そうこうしているうちに新入社員は退社してしまいました。

 社長は、この人は仕事ができるから、教えることもできるだろうと考えたのですが、そうではありませんでした。仕事を教えるスキル、人を育てるスキルは、仕事のスキルとは別だったのです。

 ベテラン社員に若い社員を預けっぱなしにしたことにも問題がありました。

 中小企業の強みの一つは社長と社員の距離が近いことです。社員全員が社長と言葉を交わし、社長の熱意に触れながら、仕事ができることです。この利点を生かして、人材育成の体制を考えてもいいのではないでしょうか。

 知識・技術・技能の習得のための指導は、直接の上司や先輩が行なうことが多いと思います。そのすぐ後ろに社長がいて、教育に当たっている上司や先輩と話し合い、育成の状況を把握して、必要な時には自ら乗り出す。中小企業だからこそ、こういうことも可能になります。

 教育をする社員も、教育を受ける社員も、社長の熱意を肌身に感じるとき、モチベーションが高まり、取り組みにも心がこもるに違いありません。ここから、会社を愛する社員が育つのではないかと思います。

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なにが原因なのか

 

 社員が思うように働いてくれない。困ったことだと思います。こんなとき、困った、困ったと見ているだけでは埒があきません。

 社員が困った姿になったのには、必ず原因があります。原因は、社員の側にもあります。経営の側にもあります。両方の原因を明らかにして対処することで、この問題を解決するという取り組みが求められます。

 採用の仕方はどうだったでしょうか。スキルや資質を確かめてから採用したでしょうか。とにかく人が欲しいからと、我が社に合わない人を採用してしまわなかったでしょうか。

 教育に問題はなかったでしょうか。必要な知識・技術・技能を教えないまま、訓練しないままに、仕事に就けたりしなかったでしょうか。

 規律はどうだったでしょうか。ルール違反を見つけても、辞められては困るからと、見て見ぬふりをしてこなかったでしょうか。

 支援はできていたでしょうか。社員が困って相談にきたときに面倒くさそうに応対しなかったでしょうか。忙しいから明日にしろなどと追いかえし、そのまま忘れてしまったりしなかったでしょうか。

 そんなことをした覚えはない。そう思ったとしても、現実に社員が思うように働いてくれないとしたら、必ずどこかに原因があるはずです。

 原因を突き止めるのは生易しいことではありません。しかし、原因を突き止めなければ問題解決はできません。社員の側にある原因と経営側にある原因を見つけて、適切に対処する必要があります。

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人的資源

 

 資源とは、人間の生活や産業などの活動のために利用できるものを言います。人間が生活や産業に活かして使えるものはすべて資源です。同じものが資源になったり資源でなくなったりします。役立て方を知っている人には資源になるけれど、役立て方を知らない人には資源にならない。そういうこともあり得ます。

 経営資源とは経営を行なうときに利用できるものということになります。なかでも欠かせない資源として「ヒト、モノ、カネ」が上げられています。これらの資源を活かして使いながら、事業を推進するのです。

 

 

 人も、活かして使えば人的資源となりますが、活かすことが出来なければ人的資源になりません。活かし方が小さければ小さな人的資源となり、大きく活かせれば大きな人的資源になるわけです。

 これまで目立たなかった人が、上司が変わったら活き活きと活動するようになったという事例があります。小さな人的資源から大きな人的資源に様変わりしたのです。

 逆に大きな働きをしていた人が、上司が変わったら働きが悪くなったという例もあります。このように人は大きな資源になったり、小さな資源になったりする性質があります。従業員を大きな人的資源に育てるか、小さい人的資源のままで放置するかは、企業の中心的課題のひとつでありましょう。

 

 

 人的資源を大きくするには、ハードスキル(業務に特有の専門性の高いスキル)を向上させる必要があります。それに加えて、ソフトスキル(あらゆる業務に役立つ普遍性の高いスキル)を高めれば、より大きな人的資源となることにも、留意したいと思います。

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人材で差別化

 

 中小企業は大企業と価格競争をしてはいけないと言われています。とても太刀打ちできないからです。

 そうなると、大企業にはできないもの、他社ではやらないものを掘り起こして商品化するしかありません。ここしかやっていないもの、ここでしかできないものなら、ここに発注するほかないからです。

 ところが製品も、サービスも、ビジネスモデルも、売り出すそばから模倣されます。また、消費者のニーズ・ウォンツの回転が速くて、開発した商品はたちまち陳腐化していきます。常に新しいものを生み出していかなければ生き続けることができません。

 

 

 それならば、常に新しいものを生み出していく力を備えればいいのです。世の中が新しいものを望み始めたら、すぐに対応すればいいのです。

 新しいものを生み出す力を持っているのは人です。顧客の新しいニーズ・ウォンツを掴んでくる営業。これを製品やサービスに具体化する設計。設計を形にする現場。これを魅力的に売り込む営業、宣伝。これらをバックアップする管理部門。

 世の中が望むものを生み出そうという気概を持った人材を育て、チームワークを構築すればいいのです。

 製品の模倣はできても、人材の模倣はできません。

 生産的に活動する人は、日々成長しますから、陳腐化することはありません。

 社長が、熱い思いで語りかけ、社員の力を引き出し、チームワークを育て、他社との間に人材の差別化を図っていただきたい。そこを目指して人材育成に取り組んでいただきたい。心から、そう願ってやみません。

 

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人材育成という仕事

 

 

 業績向上の決め手は、人材にあるといっても過言ではありますまい。

 そんなことは分かっていると、だれもがおしゃるだろうと思います。それにもかかわらず、人材の育成なんか俺の仕事じゃないなどとそっぽを向く経営者も少なくありません。そして言うのです。あっちの会社には良い社員が揃っているのに、俺の所の社員はカスばっかりだ。

 ある著名な指揮者が「世の中に下手なオーケストラは存在しない。下手な指揮者がいるだけである」と言ったそうですが、この言葉は会社にも当てはまりそうです。

 どの会社の社員も資質はほとんど同じです。その資質を引き出して業績に結び付ける経営者と、資質を引き出さないあるいは引き出せない経営者がいるだけなのです。

 あいつは入社してから3年も経つのに、ちっとも仕事ができないと嘆いている経営者がいましたが、これは、雇ってから3年も経つのに、仕事ができるように育てていないということなのです。

 

 

 経営者にとっても、管理職にとっても、まず行わなければならない仕事は人材育成であると気付いた会社が、そちこちに生まれはじめているのは嬉しい話です。

 それどころか、一般社員の立場でも、先輩が後輩を育てることや、自分自身を育てることは、業績向上のために欠かすことのできない仕事であると気付かなければなりません。

 パナソニックの創業者松下幸之助は「松下電器(パナソニックの以前の社名)は人をつくる会社です。あわせて電気製品を作っています」と言ったそうです。

 この姿勢が企業を大きく育てたことを見過ごしてはならないと思います。

 

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人材育成とコミュニケーション

 

 

 ある先輩社員が、入社して間もない後輩社員に、仕事を教えることになりました。

 一通り説明を受けた後輩が仕事をしていると、先輩がやってきて「こんなんじゃだめだ」と怒鳴りつけ、そのまま行ってしまいました。後輩は慌てて仕事をやり直しました。また、先輩がやってきて「こんなんじゃだめだと言っただろう」と怒鳴りました。後輩はどうしたらいいのか分からず、固まってしまいました。

 ここでは先輩が怒鳴っているだけです。後輩はウロウロするだけです。この状態が数日続いたら、後輩は出勤できなくなるかもしれません。

 先輩が、だめだと怒鳴っても、後輩は、何がだめなのかさっぱり分かりません。先輩は必要な知識を持っていますが、後輩は持っていません。これは知識の共有がないという状態です。

 後輩が先輩と同じ知識を持つためには、コミュニケーションが必要です。コミュニケーションは会話から始まります。会話は言葉のキャッチボールで進展します。先輩が教え、後輩が返事をする。後輩が質問し、先輩が答える。こうしたやり取りを重ねて、後輩が必要な知識を受け取り、理解し、自分のものにするのです。このようにして知識の共有ができたとき、コミュニケーションが成り立ったと言えます。

 この事例では、先輩と後輩の間にコミュニケーションが成立していません。これを繰り返していては、いつまでたっても、後輩は育たないでしょう。

 後輩社員を戦力として育てるには、コミュニケーションの手間を惜しむべきではないと思います。

 

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