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ハーズバーグの精神的成長六つの要点
ー仏教からの考察ー

  

「動機づけー衛生理論」で有名なフレデリック・ハーズバーグは、人間の真の成長は精神的成長にあると考えて、熱心に論じています。これを学びつつ、仏教を学んだ立場から、内容を考察してみたいと思います。

精神的成長の体系

  

 モチベーションに関する勉強をした人なら、フレデリック・ハーズバーグによる「動機づけー衛生理論」に接したことがあると思います。

 この理論で、ハーズバーグは、人間の二つの典型について述べています。

 典型のひとつは、「衛生追求者」で、仕事よりも、待遇や居心地に関心を向け、不平不満を持ち続けて満足することのない人々です。

 もうひとつの典型は、「動機づけ要因追求者」で、仕事そのものに意義を見出し、精神的に成長していこうとする人々です。ハーズバーグは、精神的成長こそ、人間のあるべきすがたであると考えているようです。

 釈迦牟尼世尊の教えを基盤にして開発してきたビジネス縁起観もまた、一人一人の人間的成長を主題にしています。ビジネス縁起観の主題と、ハーズバーグの精神的成長は、同じフィールドにあり、同じ方向を向いているという印象があります。

  

 ハーズバーグは、動機づけ要因追求者が精神的に成長する体系について論じ、その締めくくりに、次のように述べています。

 「要約すると、精神的成長の六つの要点は、より多く知ること、知っていることがらにより多くの関係づけをみること、創造的であること、あいまいな状況のもとで効果的であること、集団圧力に直面しながら個性を維持すること、および現実的な精神的成長を遂げることである」(フレデリック・ハーズバーグ著、北野利信訳『仕事と人間性』東洋経済新報社、p.82)

  

 ハーズバーグは、精神的成長の体系を六つの要点によって明かしましたが、それらの実践・体得については、必ずしも、十分に解き明かしたとは思われません。

  

 ビジネス縁起観の基盤である釈迦牟尼世尊の説く教えは、人間一人一人が、人間的に成長するための実践道を明らかにしました。

 ハーズバーグの六つの要点に、釈迦牟尼世尊の説く実践道を取り込むことによって、これらの要点の実践・体得の道を開くことができるのではないかと考えはじめています。

  

 精神的成長の体系をなす六つの要点の、一つ一つに関するハーズバーグの論述を、要約するのはなかなか難しいのですが、釈迦牟尼世尊の教えを念頭に置きながら、私なりの理解を記してみたいと思います。

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より多く知ること

  

 精神的成長の体系の一番目は、「より多く知ること」です。

 経験を通して学習し、昨日よりは今日のほうが、今日よりは明日のほうが、より多くのことを知っていることが、この段階での精神的成長になります。

 「知る」とは「理解して記憶する」ことだと言えます。学習や経験を通して理解したものごとを記憶します。記憶は保持されます。必要な時に思い出します。これが知るということです。

 モチベーションの高い人は、知る力も大きくなるようです。モチベーションの低い人は、知る力も小さくなります。

 自分の都合に合ったことや、興味があることは受け取るけれども、そうでないことは受け取らない。こういう人は、知る内容に偏りが生じます。

 仏教では、あるがままを、あるがままに受け取ることを勧めています。

 より多くのものごとのあるがままを、あるがままに受け取り、記憶し、必要なときに思い出す。これもひとつの徳分であると、仏教は考えているようです。

 

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知っていることがらにより多くの関係づけをみること

  

 自分が知っているさまざまなことがらの間には、またさまざまな関係があると思います。その関係づけをできるだけ多くみることが、精神的成長の体系の二番目です。ここには「より多く知ること」が包含されていることが分かります。

 多くのことを知っていても、ただ、知っているだけでは役に立ちません。知っていることの間にある関係が分かれば、どのように役立てることができるかも分かります。

 「知っていること」を「知識」と言い、「知っていることの間の関係をみること」を「智慧」と言ってもいいでしょう。

 昨日よりは今日のほうが、今日よりは明日のほうが、より多くの智慧を持つことが、この段階の精神的成長であると言えます。

 仏教では、縁起の法を説きます。縁起の法は、ものごととものごとの関係性を見極めていく理論です。ビジネス縁起観は、縁起の法の表現の一つである「原因・条件・結果・影響の原理」を基盤にして、理論と実践を開発しています。

 「原因・条件・結果・影響の原理」を理解し、マスターすれば、ものごととものごとの関係をみる力は大きくなります。それだけ、成長の速度も上がるであろうと思います。

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創造的であること

  

 精神的成長の体系の三番目は、「創造性」です。

 多くの知識を持ち、その関係性を見出すことを通して智慧が育ちますと、今度は自分なりに新たな発見をしたり、新たなものを作ったり、新たな考えを生み出したりできます。これが創造性であり、精神的成長の体系の三番目です。ここには「より多く知ること」「知っていることがらにより多くの関係づけをみること」が包含されていることが分かります。

 ここでいう「創造」は、人類的な意味での創造である必要はありません。自分における創造であればいいのです。そこから、自己実現の道が開かれるのです。

 創造の一つ一つが、精神的成長の成果であると思います。ですから、昨日も創造し、今日も創造し、明日も創造するという毎日を過ごせば、一日、一日と精神的成長を遂げることになります。

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あいまいな状況のもとで効果的であること

  

 現実の複雑さの中では、ものごとは常にあいまいです。あいまいな状況のもとで、あいまいさに惑わされずに意思決定して、効果を生み出していくことが、精神的成長の体系の四番目です。

 現実のあいまいさは、例えば、次のような理由で生じます。

 

  • ものごとのすべてを明らかにすることができない。
  • 情報が少ない、逆に多すぎる。
  • 情報が、確かでない、揺れ動く。
  • ことがらや情報に、未知なものが含まれている。
  • こちらの理解力に限界がある。

 どんなにあいまいな状況の中にあっても、行動するからには、何らかの成果を生み出さなければなりません。

 その際、あいまいな状況を目の前にして、暫定的な見通しのもとにやってみては失敗し、見通しを立て直して、またやってみてはまた失敗し、このようなことを繰り返しながら、次第に目的に近づいていく。このようなことになると思います。このとき「創造的であること」が、大きな力となります。

 ビジネス縁起観では、このようなときに原因・条件・結果・影響の原理を使います。

 いかにあいまいであっても、いくらかの情報はあるわけですから、これらの情報を原因・条件・結果・影響の原理で分析・総合すれば、暫定的な見通しを立てるにも、方法を選ぶにも、いくらかでも根拠のある取り組みができます。こうすることによって、内容のある取り組みができるようになり、目的へも近づきやすくなると考えられます。

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集団圧力に直面しながら個性を維持すること

  

 家庭・職場・世間など、自分に何らかの意味で関係する集団が、自分に対して何らかの圧力をかけて、自分の意思決定や行動を制限しようとすることがあります。そんなときでも、自分の主体性を失わずに、思考、判断、意思決定をして行動することが、精神的成長の体系の五つ目です。このとき、「あいまいな状況のもとで効果的であること」が、力になります。

 仏教には、自燈明・法燈明という理論があります。自分の主体性を維持しながら、理(ことわり)に基づいて、適切な対応を考え、行動するという理論です。自分欲に走らずに、人間と人間の間の正しいありかたに立ち戻って、理性的に検討すれば、適切な対応が見えてくるのです。

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現実的な精神的成長を遂げること

  

 「現実的な精神的成長を遂げること」が、精神的成長の体系の六番目です。

 これまでに上げられた「より多く知ること」、「知っていることがらにより多くの関係づけをみること」、「創造的であること」、「あいまいな状況のもとで効果的であること」、「集団圧力に直面しながら個性を維持すること」という五つの体系が一つに溶け合って、精神的成長を現実に推進することと言えます。「動機づけ要因追求者」は、現実的な精神的成長を遂げることによって、豊かなモチベーションを維持し続けるのです。

 仏教には、三つの段階を経て、成長するというアルゴリズムがあります。三つの段階とは、「理論を正しく理解する」「理論の通りに実践する」「理論と実践の整合性を確認する」の三つです。このようにして、智慧と実践を深めていくことにより、人間的に成長していくのです。

 ハーズバーグの精神的成長の体系においても、このアルゴリズムを適用することにより、現実に精神的成長を遂げることができるであろうと思います。

  

図:ハーズバーグによる「精神的成長」の体系

 (低次元を包含しながら、ひとつずつ次元が高まっていく)

高次元

低次元
現実的な精神的成長を遂げること
集団圧力に直面しながら個性を維持すること
あいまいな状況の中で効果的であること
創造的であること
知っていることがらにより多くの関係づけをみること
より多く知ること

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