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経営理念の策定

経営理念の策定

  

経営理念の策定方法

  経営理念を作るには、どのような方法が考えられるであろうか。

  経営者が自分だけで作る。

 経営者が幹部社員と相談したうえで、自分で作る。

 幹部社員が起草して経営者が決定する。

 こうした方法が一般に用いられているようである。中には外部専門家の指導を受けながら作成するという方法もある。このほかにも、さまざまな方法が考えられるであろう。どの方法が良いとか悪いとかいうことはできない。それぞれに違った意味合いがある。

  

策定における留意点

 どのような方法で作られたとしても、確定した経営理念は、経営者が得心できるものでなければならない。また、組織メンバーが理解し共有できるものでなければならない。そして、顧客や社会と調和するものであってほしい。

 その内容には、人間性・公共性・普遍性・現実性が備わっていてほしい。現実に生きて働く経営理念であってほしいのである。

  

受け継いだ経営理念

 創業者が定めた経営理念を代々の経営者が受け継いでいることがある。この場合も、現在の経営者が得心していることが求められる。また前記の留意点に適合していることが求められる。

 現在の経営者が得心できなかったり、留意点に適合していなかったりしていれば、代々伝わってきた経営理念といえども、借り物の経営理念、飾り物の経営理念となってしまうであろう。

 このような場合には、代々受け継いできた経営理念の文言はそのままに、解釈を新たにすることもある。現在の経営者が得心するためである。それでも間に合わなければ、改めて経営理念の策定に着手すべきである。

  

経営理念の働き

 経営理念は、内容によって働きが異なってくるが、少なくとも三つの面が認められる。

 「経営・業務の推進」の面、「組織メンバーのモチベーション向上」の面、「事業の社会的存在価値を育てる」面である。これらの働きがひとつに編み上げられて、全体として事業を推進する働きを生む。

 「経営・業務の推進」の面に関しては、経営の推進、業務の推進における基本的な方向性を示す内容、経営・業務に当たる際の姿勢や心構えを示す内容などがある。

 「組織メンバーのモチベーション向上」の面に関しては、夢を育む内容、激励する内容、働く意義を高める内容などがある。

 「事業の社会的存在価値を育てる」面に関しては、事業の社会的な役割を宣言する内容、社会への貢献を表明する内容などがある。

 こうしたことを考えながら、経営理念に期待する働きに応じて内容を策定することとなるであろう。

  

経営理念の要件

 経営理念には、あれを入れてはならない、これを入れなければならなということはない。時代に応じ、地域に応じ、業種・業態に応じて、適切に策定するべきであろう。

 ただ、経営理念には、人間性・公共性・普遍性・現実性が備わっていることが望まれるであろう。また経営理念は、経営者の本心に基づくものであり、少なくとも経営者が得心していなければならないであろう。その上で、組織メンバーが自発的に共有できる内容・表現であること、顧客・社会と調和する内容であることを目指すべきであろう。

経営理念の内容

  

経営理念の内容

 ある研究によれば、現代の企業が公表している経営理念を検討し整理すると、「顧客志向」「社会との共生」「先駆者精神・イノベーション・創造性」「地球環境への配慮」などの内容が多いという。他の研究によれば、経営理念には「自戒型」「規範型」「方針型」があるという。これらの研究にはうなずけるものがある。

 私も経営理念を考察して、「業務領域」「常時達成型の目的」「未来達成型の目的」「行動規範」「基本姿勢」などの内容を研究してきた。これらの中で、経営理念を策定するときに、是非、検討していただきたいと思うものは「常時達成型の目的」と「行動規範」である。

  

常時達成型の目的

 顧客に満足してもらうことは、事業の重要な目的である。この目的は、常に実現し続けなければならない。そのように、常に実現しなければならない目的を「常時達成型の目的」という。

 顧客に満足してもらうことのほかにも、常時達成するべきことがらはある。社会との共生、従業員の喜びなどもその中に入るであろう。

 常時達成型の目的は、事業の存在意義を表明するものであると考えられるから、経営理念に相応しい内容であると言える。

  

行動規範

 組織メンバーが、内部的にも、対外的にも行なうべきこと、行ってはならないことがあるであろう。人倫の道、社会人としてのありかた、顧客に対する姿勢、仕事に対する姿勢などが考えられる。こうした行動は自発的、自律的に行うことが求められる。

 これらの中で、この事業においてはとりわけこのことを重視するというものがあれば、経営理念に盛り込むべきであろう。

 こうした経営理念は、一義的には内向きのものであるけれども、経営者や組織メンバーが現実にこの経営理念によって実践すれば、外向きのメッセージを発信することができるであろう。

価値観

  

経営理念の根拠

 経営理念の内容を策定するとき、その根拠となるのが、価値観である。価値観を経営理念として公表するかどうかは別として、経営理念の根拠として確立しておくことは必要である。この経営理念は、このような価値観から生まれてきたということが、経営理念が平板な言葉ではなく、深い内容を持ったものとして自覚されるはずだからっである。

 新入社員に経営理念を説明するときには、その根拠を示し、重大性を認識してもらうことが必要であろう。ステークホルダーに経営理念を示し、その根拠を説明することで、より深い信頼を得ることにもつながるであろう。

 経営理念は、単なる標語ではないことを、一人一人が認識するためにも、その根拠としての価値観は理解しておく必要がある。

 将来、経営理念を見直す時には、これまでの経営理念が、どのような根拠から生まれてきたのかを振り返ることが必要となるであろう。場合によっては、根拠までひっくるめて見直そうということにもなるかもしれない。

 経営理念は、年々成長するべきである。このとき、根拠である価値観の成長があって、経営理念も成長するということになれば、これほど望ましいことはないであろう。

  

価値観とは

 価値観とは、何を大事に思うかと言うことである。

 顧客満足を大事にする。従業員の生き甲斐を大事にする。社会貢献を大事にする。独自の技術を大事にする。

 経営者によって大事にするものはそれぞれであろう。自分は何を大事に思っているのか。自覚しておくことが必要であり、また語ることが必要である。

  

価値観の共有

 何を大事に思うかは、人によってそれぞれであろう。それぞれの人は、自分の価値観に従って判断し、行動するであろう。同じ価値観を持った人同士は、協力し合うことができるであろう。

 企業においても、経営者と従業員が価値観を同じくしていれば、互いに協力し合うことができるであろう。

 もしも、価値観が対立していれば、協力し合うことは困難であろう。

 経営者は、自分の価値観を自覚し、同じ価値観を持った人、少なくとも同じ方向性の価値観を持った人を協力者とするべきである。

経営理念の確立と浸透

  

経営理念の確立

 経営理念は、成文化され公表されると、組織におけるメンバー間の約束事となる。また、事業組織と顧客を含む社会との約束事となる。

 成文化され公表された経営理念を、経営者をはじめ組織メンバーがこぞって共有し現実の場で実践するようになったとき、経営理念は確立したと言えるであろう。

 経営・管理・業務のあらゆる場面において、ものごとの認識・判断・決断・行動が繰り返される。そのすべてに浸透している経営理念が、生きている経営理念である。

  

経営理念の浸透

 経営理念を成文化し公表した後は、経営理念の浸透を図る必要がある。浸透とは、多くの人びとに共有してもらうことである。

 まず、組織メンバーに経営理念を共有してもらい、経営理念に沿って行動してもらわなければならない。これによって、組織が一体となって活動することができるようになる。

 経営理念を身につけた組織メンバーの行動によって、顧客との間に調和が生じることが期待できる。さらには、事業と社会との間に調和が生まれ、社会的存在価値が高まることが期待できる。

 人間性・公共性・普遍性を備え、現実性を発揮できる経営理念が、浸透できる経営理念であることは言うまでもない。

  

経営理念の成長

 経営理念は事業経営の土台であるから、ゆるぎなきものでなければならない。しかし全く変化しないものではない。

 時が経てば、事業の様相が変化するかもしれないし、目指すものが変わるかもしれない。経営者の考えや思いが成長すれば、経営理念も成長しなければならない。時代相が変われば古い時代の表現がそぐわなくなり、時代に合った新たな表現が求められることもあるであろう。

 経営理念の根幹をなす人間性・公共性・普遍性は変化しにくいとしても、現実性は変化しやすいと考えられる。

 経営理念が見直されたからには、古い経営理念を共有している人々に、新しい経営理念を浸透させなければならない。新しい経営理念を確立し、事業の新たな展開を加速するために、浸透の努力は欠かせないであろう。

経営者と経営理念

  

経営理念のおおもと

 経営者は、事業経営をするという人生を歩んでいる人である。事業経営に対しては、ひとしおの考えや思いがあるに違いない。経営者の考え、思い、行動が如何なるものであるかが、事業の内容や、経営のやり方を方向づけていく。経営者の考えや思いは、事実上の経営理念であると言っても過言ではあるまい。少なくとも経営理念のおおもとにはなっている。

 成文化され、公表される経営理念も、そのおおもとは経営者の考えや思いであり、経営者の本心であるべきである。経営者の本心に根付いていない借り物の経営理念、飾り物の経営理念は、経営理念としての働きを現すことができないであろう。

  

経営者の自覚

 意外に聞こえるかもしれないが、自分は何を考え、何を求めて事業を経営しているのかを言葉にできない経営者が存在する。さらには、自分が何を考え、何を求めて経営しているのかを自覚していない経営者や、自分の本心が求めているものに気づかずに、あるいは自分の本心が求めているものを無視して、表面的な成果ばかりを追いかけている経営者も存在する。

 このような経営者たちが、自分の考えや思いを社会的な意味を持つ経営理念として表明することは不可能であろう。このような経営者を指して、経営理念の無い経営者と言うことがある。しかし、経営に対する考えや思いを持たない経営者はいないはずである。

 強いて表現するならば、自分の経営理念を自覚していない経営者、自分の経営理念を言い表せない経営者、自分の経営理念を誤解している経営者、自分本来の経営理念に従うことのできない経営者などといわなければならない。

 経営者は自分を内省し、経営に対する自分の考えや思いを自覚し、言葉にするように努めるべきである。表面的な成果に走らずに、自分の本来の経営理念を大切にするべきである。

 自分の中にある「経営理念のおおもと」を、自覚の場に引き出すことから、経営理念を確立する作業が始まるのである。

  

経営理念の表明

 経営者の考えや思いが、経営者の内面にのみあって表明されないときは、経営理念としての働きは生じない。経営者の考えや思いは、やはり経営理念として成文化し公表しなければならない。

 しかしながら、経営者の考え・思いをそのまま文言にし、経営理念として社会に表明するのはいささか躊躇がある。経営者の考え・思いの中には、公にするに相応しいものと、公にするには相応しくない個人的な思いがあるであろう。

 経営者の立場から、組織メンバー、顧客、社会に向かって、これが経営理念でありますと表明するには、やはりそれなりの内容であり表現でなければならないであろう。

 経営者の考え・思いのなかから、人間性・公共性・普遍性があり現実性があるものを引き出して整理したい。そこからさらに考えが発展したり深まったりして、経営理念を整備していくのが、自然な手順ではあるまいか。

  

経営理念の実践

 経営理念を成文化し公表したからには、経営者は率先して実践しなければならない。

 自ら経営理念に沿って行動しながら、組織メンバーに向かって発信を続ける。経営理念に沿って計画を立案し、実行し、問題が生じたときは経営理念を指針として問題解決にあたる。組織メンバーが経営理念に沿って行動している時はこれを褒め、経営理念から外れているときはこれをたしなめる。外部に向かっては誇りを持って経営理念を語る。

  経営理念に現実性があれば、このような実践をすることが可能である。こうした実践の積み重ねによって経営者が成長し、それにつれて経営理念が成長するのが、望ましい姿であるといえるであろう。